目次
急速な自動車の進歩で消えていった装備・機能
世の中がコンピューター制御や自動化が進むにつれて自動車も急速に進歩してきました。特に10~20年前からの自動車の進化は、それ以前のものと比較して雲泥の差を感じてしまいます。
今の車は簡単かつ快適なアイテムと思われていますが、昔の車の運転には人力やコツが要求されました。今回は今の車にはない、昔の古い車についていた装備や機能について紹介していきましょう。
自動化が進む前の車は手動操作がほとんどだった
今のように自動化された車の装備に慣れていると信じられないかもしれませんが、ひと昔前まではほとんどの装備や機能を手動で操作していました。
窓は手でハンドルを回して上下させる
昔の車の窓はドアに付いているハンドル(レギュレーターハンドル)を手で回して上下させていました。ボタンを押せば動くパワーウインドウが常識となった今からしてみたら、手動で窓を上下させるなんてことは考えられないかもしれません。
今の車は運転席から全ての窓の開閉ができますが、この時代には運転席から身を乗り出して助手席や後部座席の窓を開閉するシーンがよく見かけられました。
パワーウインドウの普及で窓の開閉は簡単になりましたが、幼児が窒息死するなどの事故も多発しています。窓に挟まれて窒息するなんて昔では考えられないことですが、便利さを追求すると新たな弊害が発生するものです。
ハンドルは腕力で回すもの
今の車は指1本でもステアリングハンドルを回すことができます。これは運転者がハンドルを回す動作を補助する機能(パワーステアリング)が作動しているからです。
しかし昔はパワステが付いていない車がほとんどでした。そのためハンドルを回すには腕力が要求されて、低速時や駐車での据え切り操作ができない女性ドライバーがいたほどです。
パワステが付いていない、通称「重ステ」の時代のときは低速時にハンドルが重くて、スピードが速くなるとハンドルが軽くなることを実感できたものです。そのため速度を出し過ぎるとハンドルが軽くなりすぎて恐怖心が生まれて、自然に減速したのを覚えています。
今の車はどんなスピード域でもハンドルの重さがほとんど変化しないので、速度や路面との対話ができずに車の限界を把握しにくくなっているといえるでしょう。
エアコンではなくクーラー
フルオートエアコンが標準装備される現代の車では、室温調整しかしないという方も多いのではないでしょうか。
昔の車にエアコンが標準装備されていることは少なくて、クーラーがオプション設定されているくらいでした(ヒーターはエンジンの熱を利用するので昔の車でももれなく付いていました)。
当然ながら1℃単位の温度調整なんてできるわけがなく、ギンギンに寒くなるか全然涼しくならないかのどちらかでガマンする感じでした。
今となっては笑い話ですが、昔の車のリアウインドウやリア部に「エアコン装着車」のステッカーが誇らしげに貼られていると「お、エアコン付いているんだ。すげー」とか思ったものです。
また運転席と助手席の窓には三角窓がついていて、車内の換気をしていました。しかしエアコンの普及に伴って三角窓は姿を消していきました。
海外からの圧力で姿を消した装備・機能
日本独自の規制に海外の自動車メーカーがクレームをつけたことによって消えていった装備や機能がありました。
昔はフェンダーミラーしか認められていなかった
日本国内では1983年までドアミラーが禁止されていて、フェンダーミラーしか認められていませんでした。
この当時、海外ではすでにドアミラーが主流でしたが、日本向け輸出車にわざわざフェンダーミラーを装着せざるをえなかったことに海外の自動車メーカーが反発、規制が撤廃されました。
今ではボタンひとつでドアミラーの角度を調整できますが、フェンダーミラーの頃はいちいちミラーの角度を調整~運転席に座って確認を何度も繰り返してミラー位置を合わせたものです。
時速100キロを超えるとキンコンと鳴った速度警告音
昔の車は時速100キロ以上出すと「キンコンキンコン」といった警告音が鳴って運転者にスピード違反を知らせてくれました。
今では考えられませんが、この速度警告音が鳴らないと車検に通らないほど重要な装備でした。しかし日本独自の規制に海外の自動車メーカーが反発、しだいに速度警告音が鳴る車はなくなっていきました。
フェンダーミラーや速度警告音といった日本独自の規制は、安全性を理由に海外の自動車メーカーがクレームをつけられるまで継続されましたが、撤廃された現在からみるとまったく意味がない規制だったことが分かりますね。
車の進化は目覚ましく、近い将来には自動運転で走り回る車が登場しそうです。現代の車は簡単で快適になった反面、車らしさが失われたと思うのは私だけでしょうか。便利になればなるほど事故が起きたときの被害が増幅する点も考えものですね。