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FF・FR・4WDといった車の駆動方式の違いとは
自動車にはエンジンとタイヤが付いていますが、エンジンの搭載位置やどのタイヤにパワーを伝えて駆動させるのかは車種により違いがあるのをご存知でしょうか。
FF・FR・4WDなどと呼ばれている駆動方式ですが、一般の人には少し難しいかもしれません。
ここでは現在多くの車種に用いられている駆動方式の違いや特徴を紹介していきます。
車の駆動方式とは
FFやFRなどは、エンジンの搭載位置と駆動を路面に伝えるタイヤの位置を示しています。
車の中で一番の重量物であるエンジンの位置と駆動輪の位置関係により車の特性が大きく異なるため、特に高性能車では駆動方式が重要なファクターとなってきます。
一般車でも、室内空間や雪道などの走破性などにも影響を与えるので、購入時の検討項目に挙げる人も多いようです。
FF(フロントエンジン・フロントドライブ)
出典:https://ja.wikipedia.org/
FFとはフロントエンジン・フロントドライブの略で、車の前部にエンジンを搭載し、前輪を駆動させる方式です。現在の乗用車の多くがFF方式を採用しており、車がコンパクトになるほどFF車の比率が高くなります。
FF車の特徴はエンジンの両脇に駆動輪があるので長いプロペラシャフトが不要になり室内空間を広くすることができます。また部品点数が少なくて済むのでコストダウンが図れます。
直進性に優れる反面、曲がりにくい印象があったFF車ですが、改良によりデメリットはほぼ解消されつつあります。
FF車の一例:トヨタプリウス・日産キューブ・ホンダオデッセイ・スズキアルトなど
FR(フロントエンジン・リアドライブ)
出典:https://ja.wikipedia.org/
FRとはフロントエンジン・リアドライブの略で、車の前部にエンジンを搭載し、後輪を駆動させる方式です。
古くから採用されている駆動方式であり、近年ではFFに押され気味ですが高級車やスポーツカーの多くがFR方式を採用しています。
FR車の特徴は素直なステアリング特性で、車を操る感覚はFFの比ではありません。
トランスミッションや長いプロペラシャフトがフロアを縦に2分割するように配置されるため室内空間が犠牲になり、構造が複雑化することでコストが高いなどのデメリットがありますが、FR車ならではの走行特性を求める根強いファンが数多く存在します。
FR車の一例:トヨタ86・日産フェアレディZ・ホンダS2000など
4WD(4ホイールドライブ)
出典:https://ja.wikipedia.org/
4WDとは4ホイールドライブの略で、4輪を駆動する方式です。AWD(オールホイールドライブ)と呼ぶこともありますが意味は同じです。エンジンの搭載位置はフロントだけでなくリアに搭載されることもあります。4WD方式には常時4輪駆動で走行するフルタイム4WDや2輪駆動と4輪駆動を切り替えるパートタイム4WDなど様々な種類があります。
4WD車は4輪を駆動するので雪道や悪路などの走破性に優れ、天候や路面状況に左右されにくい走行安定性の高さが特徴です。デメリットとしては構造が複雑なために車両価格が高価になりがちで燃費に劣る点などがありますが、走行性能は他の駆動方式を寄せ付けない高さを誇ります。
4WD車の一例:トヨタランドクルーザー・日産35GT-R・スズキハスラーなど
少数派の駆動方式
自動車の駆動方式にはFF・FR・4WDの他に少数派ながらMRやRRが存在します。
MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)
出典:https://ja.wikipedia.org/
MRとはミッドシップエンジン・リアドライブの略で、車体の中央付近(リアシート付近)にエンジンを搭載し、後輪を駆動させる方式です。同じ後輪駆動のFR方式と異なりエンジン搭載位置が車体の中央付近にあることから前後の重量配分が50:50に近くなるので運動性能に優れ、レーシングカーやスポーツカーで多く採用されています。
MR車の特徴として走行性能ありきで設計されることが多いために速く走ることに長けていますが、エンジンがドライバーの直後に位置するためにノイズ音が大きくなりがちで室内空間が狭くなるデメリットがあります。そのためMR車の多くが2人乗りです。
速く走るためのMR方式ですが、限界を超えたときの挙動変化が激しいためにドライビングテクニックが未熟なドライバーが乗るとスピンを制御できずに全損率が高くなる傾向があります。
MR車の一例:トヨタエスティマ・ホンダS660・ホンダNSXなど
RR(リアエンジン・リアドライブ)
出典:https://ja.wikipedia.org/
RRとはリアエンジン・リアドライブの略で、車の後部にエンジンを搭載し、後輪を駆動させる方式です。イメージとしてはFF方式と逆の配置になります。
MR車よりもエンジンが後ろに搭載されるためFF車並みの室内空間を確保することができますが、リアトランクはエンジンルームになるために設置できません(フロントにラゲッジスペースを設けられるが燃料タンクがあるのでスペースは限られてしまう)。
1960~70年代の小型車で多く採用されていたRR方式ですが、重量物が車体後部に集中するためにスピンしやすく操縦が難しい面などが敬遠され次第に影が薄れてきました。
RR車の一例:ポルシェ911など
車のどこにエンジンが置かれ、どのタイヤを駆動しているのかは車にあまり興味がない人にとってはどれも同じに感じるかもしれませんが、車のキャラクターを決定づける重要な一面を持つので、一度自分の車の駆動方式を調べてみると面白いですよ。
車の駆動方式が及ぼす影響は走行性能だけでなく居住性や室内空間にも大きく関わってきます。そのため同じ駆動方式でも採用理由が室内空間の広さを最優先しての採用であったり、走行性能を求めての採用だったりと様々です。