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車の性能を左右するパワーウェイトレシオとは
重ければパワーが必要なのは車でも人間でも同じ
車の性能を語るときに『馬力』や『トルク』の優劣を気にすることはあっても、車の重量のことはあまり話題に上がらないことが多いと思います。
しかし車重は車の性能はもちろんのこと、燃費にも影響を与える重要なファクターです。
ここでは車のパワーと車重の関係を取り上げていきましょう。
出典:http://www.honda.co.jp/Racing/gallery/1988/01/
馬力と車重の関係がパワーウェイトレシオ
『パワーウェイトレシオ』という言葉を聞いたことがあると思います。
しかし本当の意味でのパワーウェイトレシオが車の性能に与える意味を理解している人は少ないのかもしれません。
パワーウェイトレシオとは出力重量比とか馬力重量比と呼ばれることがあり、車重を馬力で割った数値のことです。
たとえば車重1000kgの車が200馬力のエンジンを搭載しているとすると、パワーウェイトレシオは5.0になります。
もし同じ200馬力のエンジンでも車重が2000kgになれば パワーウェイトレシオは10.0になり、これを『パワーウェイトレシオが大きい』と表現します。
パワーウェイトレシオが小さければ加速性に優れた車と言え、パワーウェイトレシオが大きければ加速性に劣ると言えます。
パワーウェイトレシオが小さい車はエンジン性能に余力を残して稼働できるので燃費が良くなります。
逆にパワーウェイトレシオが大きい車はエンジン性能をフルに使う必要があるので燃費が悪くなります。
これは1人乗車と最大定員乗車での比較で燃費の違いで実感できます。トランクなどに余分な荷物を積みっぱなしにしているのは、パワーウェイトレシオを大きくすると同時に燃費を悪化させている原因です。
【豆知識】ここでは単純に車重と馬力の関係だけで加速性を比較していますが、実際にはギア比やタイヤグリップ・タイヤ径により加速性が変化します。車の加速性能を比較するときにはパワーウェイトレシオだけでなく、ギア比やタイヤ径など加味したトータルで考える必要があります。
パワーウェイトレシオが小さい車とは
一般的な乗用車ではパワーウェイトレシオが10.0付近であれば高性能車と言われます。
果たして世界にはどのくらいパワーウェイトレシオが少ない車が存在するのでしょうか。
国産車でパワーウェイトレシオが最も小さい車
出典:http://www.zercustoms.com/news/Lexus-LFA.html
国産車の中で最もパワーウェイトレシオが小さい車は『レクサス LFA10』です。
1480kgの車重に対して560馬力ですのでパワーウェイトレシオは2.64kg/psになります。
次点は日産R35GTR NISMOの2.87kg/psです。
数字上は僅差でLFA10の勝利ですが、実際の加速性能は4WDのトラクションを生かしたR35GTR NISMOに分があるようです。
市販車でパワーウェイトレシオが最も小さい車
出典:http://wallpaperweb.org/
世界中の市販車の中で最もパワーウェイトレシオが小さい車は『キャパロ T1』です。
470kgの車重に対して500馬力なのでパワーウェイトレシオは0.94kg/psになります。
まるでレーシングカーのようなキャパロですが、イギリスで製作されている立派な市販車で、公道も走行することができます。設計したのはマクラーレンで長年活躍したゴードン・マレーです。
レーシングカーの世界だと、F1が0.8kg/ps程度、0-1/4マイルを競うドラッグマシンに至っては0.1kg/ps程度と、一般人では到底操れないほどの極小パワーウェイトレシオとなっています。
重ければパワーが必要で燃費が悪くなるのは車も人間も一緒です。車も余分な物を降ろすダイエットをしてガソリン代を節約しましょう。
パワーウェイトレシオが小さな加速性に優れた車は非常に楽しい反面、慣れてしまうと刺激を感じなくなる欠点があります。私は車重460kg、230馬力、パワーウェイトレシオ2.0kg/psの車を所有していた経験の反動で、その後どんな車に乗っても面白さを感じなくなってしまいました。