目次
燃費が向上すると言われる低燃費タイヤはエコなのか
自動車メーカーがこぞって低燃費車を開発するのに並行して、タイヤメーカーでも燃費向上を目指した低燃費タイヤの開発が熾烈になっています。
テレビのCMやタイヤメーカーの広告を見る限り低燃費タイヤは燃費向上に効果がありお得なように感じますが疑問に思う人も多いようです。
果たして低燃費タイヤは本当にエコなのでしょうか?
低燃費タイヤとは
低燃費タイヤはエコタイヤとも呼ばれており、タイヤが転がるときの抵抗を減らすことでガソリンの消費を減らす効果を狙ったタイヤです。
タイヤと路面の接地面には摩擦抵抗が発生しますが、この抵抗を減らすことにより少ない力でタイヤを転がるようになります。その結果、少ないパワーで走ることができガソリンの消費を抑えられると言われています。
低燃費タイヤの選択基準として『ラベリング制度』があります。
ラベリング制度では『転がり抵抗係数(RRC)』と『ウェットグリップ性能(G)』のそれぞれにランクを付けてタイヤの性能を消費者に分かりやすく表示しています。
転がり抵抗係数(RRC)→AAA・AA・A・B・Cの5ランク *AAAが一番転がり抵抗が少ない
ウェットグリップ性能(G)→a・b・c・dの4ランク *aが一番、雨天時のグリップが高い
転がり抵抗係数とウェットグリップ性能は相反するところがあり、転がり抵抗が低いタイヤは雨天時のウェットグリップが落ちてしまいます。
そのため両特性を上手くバランスを取りながらタイヤ銘柄を選択することが重要になります。
低燃費タイヤでどのくらい節約できるのか
燃費向上に効果があると言われる低燃費タイヤですが、普通のタイヤより値段が高めの設定になっています。
低燃費タイヤによる燃料節減効果は5%程度になるという試算結果がありますが実際にはどうでしょうか?
トーヨータイヤのサイトにタイプ別による低燃費タイヤの効果が掲載されているので見てみましょう。
出典:http://toyotires.jp/eco/
ミニバンに乗るファミリー層が低燃費タイヤに履き替えた場合
・年間ガソリン代→6,166円の節約
・年間CO2排出量→104kgの削減
このような効果が見込めるようです。
※ガソリン代140円/L 、年間走行距離12,000km、平均燃費10.0km/Lで計算
出典:http://toyotires.jp/eco/
コンパクトカーに乗る女性が低燃費タイヤに履き替えた場合
・年間ガソリン代→3,083円の節約
・年間CO2排出量→52kgの削減
このような節約が期待できるようです。
※ガソリン代140円/L 、年間走行距離9,000km、平均燃費15.0km/Lで計算
両条件共に、「転がり抵抗係数10.5の普通タイヤ」から「転がり抵抗係数6.5のAAAグレード低燃費タイヤ」に履き替えた想定での算出結果です。
低燃費タイヤはエコでお得なのか
低燃費タイヤによる燃費向上効果は条件が良くても5%程度なので、普通タイヤとの値段差を考えるとトータルでお得と言えるかは微妙です。
CO2排出量も削減されていますが、金額的な節約も含めて運転の仕方を見直すほうが効果があるかもしれません。
そもそも低燃費タイヤを履いても運転が乱暴なら本末転倒です。
現状ではあえて高価な低燃費タイヤに履き替えなくても運転の仕方を見直すほうが、タイヤの履き替えによる廃タイヤも発生しないのでよっぽどエコになるような気がします。
タイヤの転がり抵抗が低いということは必然的にグリップが低くなり、急ブレーキやカーブで滑りやすくなることを意味しています。メーカーの一部分を強調した宣伝を鵜呑みにしないで、トータルバランスを考えて選択することが大切です。