ATともMTとも違う変速装置がCVT
車のエンジンの出力範囲は意外と狭く、かつ限定されているためにそのままタイヤに駆動を伝えると、様々な状況に対応することができません。
エンジンの出力を可変させることで、渋滞などの低速走行やパワーが必要な登坂時、高速走行などに対応できるようになります。その役目を担っているのがトランスミッションと呼ばれる変速機です。
トランスミッションには大きく分けて3種類ありますが、今回はCVTのメリットやデメリットなど、特徴について説明していきましょう。
CVTの特徴は無段階変速
クラッチ操作が必要なMT車は、渋滞やストップ&ゴーが多い日本の道路事情ではドライバーが疲れやすいなどのデメリットが目立ちますが、クラッチとギア操作をなくし運転を楽にしたのがAT車です。
CVT(Continuously Variable Transmission、連続可変トランスミッション)は、操作自体はATと同様にクラッチとギア操作が不要ですが、変速特性や構造が大きく異なります。
出典:http://www.ams.or.jp/new/11at_ctv.html
ATはギアの組み合わせにより変速するので、4速や5速といった段数があるのに対し、CVTはギアを使わず2つのV字プーリーの直径を変化させて伝達比率を変えるので、無段階変速となっているのが特徴です。
CVTのメリットは、
・燃費が良い
・変速ショックがないので走りがズムーズ
このような点が挙げられますが、ATとMTがエンジンの回転数とギア比を変化させて速度を調整するのに対し、CVTはエンジンの回転をある程度まで上げれば回転数を変化させなくてもCVTが最適なギア比を選び、速度を調整します。
そのため効率の良い回転数を保ったままエンジンを稼働させることができるので燃費が良くなります。またCVTは無段階変速なので変速によるショックがなく、電気自動車のように滑らかに加速していきます。
CVTのデメリットは高回転エンジンや大パワー車には向かないこと
CVTはその構造上、エンジンが高回転になったり大パワーが加わるとベルトがスリップしてしまいます。
そのためスポーツカーや大排気量エンジンを搭載する車には不向きと言われており、コンパクトカーや軽自動車などの小排気量エンジンを搭載する車を中心に採用されています。
以前は勾配のきつい登り坂などでエンジン回転だけ上昇して車が登っていかないといった現象が出ることがありましたが、近年では技術改良により大きく改善されています。
CVT車を運転するときの注意点
車種にもよりますが、CVT車はAT車のようなクリープ現象が出ないことがあり、坂道発進などではMT車のようにサイドブレーキを使わないと後ろに下がってしまうことがあります。
またエンジンブレーキの効きがAT車よりも弱く、アクセルオフでもほとんど減速しないので、特性を把握するまでは慎重に運転したほうが良いでしょう。
AT車の多段化が進んでいくと、最終的には無段階変速のCVTに行きつきます。基本的な運転操作はAT車と同じなので、今後はAT車に代わりCVT車が主流になるのかもしれません。
1987年にスバルジャスティで量産車に初採用されたCVTですが、当初は重い・スリップするなどでキワモノ扱いだったのを覚えています。副変速付きCVTやトロコダイルCVTなど、数多くの新技術が登場していますが、CVTにはまだまだ改良の余地がありそうです。