AT車は信号待ちや下り坂でニュートラルにすると燃費が良くなるのか

目次

ニュートラルに入れてアイドリング状態にすれば燃費が良くなるという考え方

AT車を運転中に信号待ちや下り坂になると、シフトレバーをニュートラル(Nレンジ)に入れるドライバーがいます。

エンジンが無負荷状態であるアイドリングが一番燃費が良いという考えでニュートラルに入れているようですが、果たして本当に燃費が向上するのでしょうか?

信号待ちでニュートラルに入れても燃費は大差ない

信号待ちなどの停車中にニュートラルに入れるのは燃費が良くなるという考え方と、クリープ現象を打ち消すためにフットブレーキを踏み続けるのが疲れるという理由があるようです。

※AT車はドライブ(Dレンジ)に入れているとアクセルを踏まなくても車が前進してしまいます。これをクリープ現象といい、停車するにはクリープ現象を打ち消す強さでブレーキを踏む必要があります。

信号待ちなどの停車中ではニュートラルに入れても、Dレンジのままブレーキを踏み続けていても、燃費にはほとんど差がありません。

現在の車は非常に優秀なコンピューターにより燃料消費量を制御しているので、そのままDレンジに入れっぱなしで停車していたほうがむしろ燃費が良いくらいです。

シフトミスを誘発して事故に繋がることも

信号待ちでニュートラルに入れているときにブレーキを踏んでいれば問題ないですが、ブレーキを踏んでいなかったり踏み方が甘い場合は信号が変わったのを確認してDレンジに入れたときに前の車に追突してしまう可能性があります。

シフトがニュートラル時のアイドリングは少し高めでエンジンが回転していることもあるので、ブレーキを踏んでいない状態でDレンジに入れると思った以上に車が急発進してしまいます。

信号待ちなどの停車中などではDレンジのままブレーキを踏んでいるほうが燃費の面でも安全面でも安心できるようです。

渋滞などで長時間停車するときにはニュートラルに入れてサイドブレーキを使って待ったほうが楽ですが、Dレンジに入れるときにはしっかりとブレーキを踏んでからシフト操作をしましょう。

※Pレンジに入れて信号待ちするドライバーを見かけますが、発進時にリバース(Rレンジ)に誤って入れてしまうことがあります。この場合、ドライバー自身は前進するものと思ってアクセルを踏みこみますが、車が意に反してバックしてしまい、パニックに陥りやすいので大変に危険です。Pレンジに入れて信号待ちすることは絶対にしないようにしましょう。もし他人の車に同乗したときにドライバーがPレンジに入れて信号待ちをしていたら止めるようアドバイスしてあげてください。

下り坂などでニュートラルに入れて走行すると燃費は悪くなる

長い下り坂や高速道路を走行中にニュートラルに入れて惰性で走らせるドライバーがいます。たしかに惰性で走ればエンジンはアイドリングのままですので燃費が良くなりそうです。

但しこれは昔の車で通用した話しで、現在の車は走行中にアクセルを戻すと燃料をカットするようにコンピューター制御されているために下り坂などではDレンジに入れたままアクセルオフで走ったほうが遥かに燃費が良くなります。

ニュートラルに入れて惰性で走るのは安全面でも問題があります。ニュートラルではエンジンブレーキが全く効かないのでフットブレーキに頼ることになり、フェードやベーパーロックを起こす可能性が非常に高くなります。

燃費が良くなるとの思い込みでニュートラルに入れて坂道を下ってブレーキが効かなくなって事故を起こしたら踏んだり蹴ったりですよね。

参考記事:下り坂ではブレーキの踏み過ぎ・酷使に注意【フェード・ベーパーロック】

怖い話しですが下り坂に差し掛かかったらニュートラル入れ、エンジンを止めてしまうドライバーが存在します。

こうなるとブレーキの倍力装置が作動しないので思いっきりブレーキを踏んでも止まらなくなるし、車種によってはパワーステアリングも作動しなくなるのでハンドル操作が困難になってしまいます。

これも昔の運転法の名残ですが、現在の車では絶対にやってはいけない運転法です。

結論としてAT車はDレンジで走ることが基本であり、必要がない限りニュートラルには入れないということです。


ネット上などでニュートラルに入れて惰性で走行すると燃費が良くなる意見を目にすることがありますが、犠牲にする安全面を天秤に掛けると少しぐらい燃費が向上しても全く割りに合わないことが分かります。現在のAT車ではニュートラル走行しても弊害ばかりなので、あえてやる意味はありません。