なぜエンジンオイルを交換しないといけないのか
車の消耗品の中でエンジンオイルが一番交換時期が分かりにくいパーツなのかもしれません。
ディーラーや整備工場で交換を勧められて『言われたから交換しておくか』程度の認識でいる人がほとんどのようです。
1万キロ毎や1年毎の交換サイクルを守っている人でも、本当の意味での交換時期に達しているのか判断できている人は少ないかもしれません。
出典:https://gobdp.com/
エンジンオイルを交換する理由とは
エンジンオイルはエンジン内部の潤滑を受け持つだけでなく、内部パーツの清浄や冷却、防錆や密封効果など多くの役目を担っています。
ところがエンジン稼働時と停止時での温度差(100℃以上になることもある)や未燃焼ガス(ブローバイガス)による希釈などでオイルが徐々に酸化・劣化していきます。
また近年のエンジンオイルは添加剤の集合体と思えるほど多くの添加剤により構成されていますが、これらも時間の経過と共に性能が低下していきオイルとしての機能を失っていきます。
エンジンオイルは一定速度で長距離を走行する条件では、劣化が穏やかになり交換サイクルが伸びます。しかし渋滞やチョイ乗りの繰り返し、高速道路やサーキットなどでのエンジンの限界付近多用では極端に劣化スピードが早くなります。
エンジンオイルの寿命は使用状況により大きく異なってきます。そのため自分の車の使用状況を考慮しながら交換サイクルを見極める必要がありますが、多くの場合は余裕を見て早めにオイル交換をしているのです。
エンジンオイルを交換しないで走り続けるとどうなるのか
しかし車に無頓着な人やユーザー車検の利用車などでディーラーや整備工場になかなか入庫しない車の場合、エンジンオイルを交換せずに長期間に渡って使われ続けることがあります。
エンジンオイルを交換しないまま13万キロ走り続けた車のエンジン内部の様子が話題になりました。
アウディTTに搭載された3.2L V6エンジンを約13万キロに渡りノーメンテナンスで走行し続けた結果、ヘドロ状になったエンジンオイルの塊がエンジン内部にこびりついています。
海外での出来事なので日本よりは交通事情が良い可能性がありますが、このような状態になってもエンジンが稼働できていたのは驚きですね。
ここまで極端な例は珍しいですが、4~5年に渡ってエンジンオイルを交換せずに使い続けるとドロドロに変化してしまうことがあります。
こうなるとエンジン部品が摩耗して各部の隙間がガタガタになったり、オイル経路を詰まらせて回復にかなりの手間と費用が必要になることがあります。そうならないためにも定期的なエンジンオイル交換が大切になってきます。
なお、エンジンオイルの減りが確認された時には補充をして油面レベルを回復します。
しかしオイルの補充を繰り返していれば、交換しなくていいと考える人がいますが間違いです。オイル内に堆積したスラッジなどの汚れや劣化や酸化したオイルは交換しないと取り除けないからです。
特にオイル消費が激しい旧車乗りの人にエンジンオイル補充で大丈夫論を唱える人がいますが、トラブルを招く原因になるので定期的な交換サイクルを守るようにしましょう。
参考記事:車のエンジンオイル交換時期や頻度は?
最近は欧米諸国に影響されているためか、エンジンオイル交換サイクルがかなり伸びてきています。エンジンオイル自体の性能向上も目覚ましく、欧米諸国の交通事情であれば2年サイクルでも問題ないでしょう。しかし日本国内の渋滞が多い交通事情や、チョイ乗りが多い使用状況では当てはまらない部分がかなりあるので、鵜呑みにしないほうが無難だと思います。