ハンドルを据え切りすると車に負担を掛けるというのは本当か
あなたは車が停止しているときにハンドルを回してしまいますか?
今の車はパワステが優秀なので、停車時でも指一本でハンドルを回せます。しかしパワステが無かった時代に据え切りをしようものなら「車が壊れる!」と怒鳴られたものです。
今では何気なく行っている据え切りですが、車に負担を掛けていることは昔から変わりがないことを知っておきましょう。
なぜ据え切りがいけないのか
据え切りとは車が停止した状態でハンドルを回すことです。
今の人は据え切りという言葉自体を知らないかもしれませんが、昔はベテランドライバーから据え切りの悪影響を延々と聞かされたものです。
今の車はパワステ付きが当たり前なので、腕力がない女性でも指一本で据え切りすることが可能になりました。
しかしパワステがなかった時代の据え切りは、ある意味筋トレといえるほど過酷な操作でハンドルを回せない人がいたほどです。
もし現代の車で据え切りの大変さを体感したかったら、エンジンを止めたままでハンドルを回してみるといいですよ。おそらくハンドルを回せないはずです。
据え切りは車やタイヤに悪影響を与える
あなたが乗っている車の重さが何キロあるか知っていますか?VitzやFitなどのコンパクトカーでも軽く1,000キロ(1トン)を超えるほど車は重いんです。
特にFF車(前輪駆動車)はフロント部が重くて、前後の重量比が7:3とか6:4付近になっていることがほとんどです。そうなると重量1,000キロの車の前輪に掛かる荷重は、1輪あたり300キロ程度ということになります。
これだけの重さが乗ったタイヤを無理やりグリグリすれば、タイヤやサスペンション、ステアリング系統にどれだけ負担が掛かるのかは容易に想像できますね。
例えるなら片足に体重を掛けたまま地面に靴を擦りつける感じでしょうか。靴底を地面に押し当ててグリグリしていればすぐに靴底が減ってしまうし、靴底がはがれてしまうかもしれません。
さらに悪いのがブレーキを踏んだままの据え切りです。車のタイヤにはアライメントといわれる様々な角度が付いていて、ハンドルを左右に切り続けるだけで車が移動する現象が起きます。
ブレーキを踏んだままの据え切りはこの動きも止めてしまうので、タイヤや車体に対する負担が増加してしまいます。
据え切りによる車の負担を軽減する方法とは
停車時や駐車時にハンドルを切るときは、ゆっくりでいいので車を動かしながらハンドルを切ることです。そうすることでタイヤや車に対する負担が極端に軽減します。
特に重量が重いミニバンなどは、据え切りによる悪影響が大きくなります。すごくゆっくりでもいいので車を進めながらハンドルを切ると、無用なトラブルを防止してタイヤの摩耗も減らすことができます。
停車時や駐車時に据え切りをすると「ザザザー」というタイヤが地面と擦れる音が聞こえるはずです。この音が聞こえないように車を動かしながらハンドルを切ることが「車に優しい」ということを覚えておきましょう。
パワステの普及によって、今では自動車教習所でも据え切りは怒られないようです。しかし車が重くなって、タイヤのグリップが上がった現代では、据え切りによる悪影響がさらに高まっています。据え切りはできるだけやらないほうがいいので、ハンドルを切るときは車を動かすことを心がけてください。