レースに参加することを目的に市販されるベース車両がホモロゲーションモデル
自動車レースには市販車をベースとした車両のみが参加できるレースが存在します。
このレースに参加できる車両は年間に規定台数以上の生産実績規定をクリアして認可を受ける必要があり、この認可を受けるために特別に市販された車を『ホモロゲーションモデル』と呼びます。
『三菱ランサーエボリューション』や『トヨタセリカGT-FOUR RC』、『スバルインプレッサWRX』などが世界ラリー選手権に出場していたのでご存知の方も多いと思います。
ホモロゲーションモデルは限定生産・販売される車なのでプレミア価格がつきやすく、カーコレクターの中にはホモロゲーションモデルを中心にコレクションしている人がいるなど人気があります。
伝説のホモロゲーションモデル フェラーリ288GTO
出典:http://carsforsale.gregisautomobili.com/
過去には数多くのホモロゲーションモデルが生産・販売されてきましたが、その中で最も有名なのが『フェラーリ288GTO』です。
世界ラリー選手権『グループB』に参戦すべく、ホモロゲーションに沿って誕生したフェラーリ288GTOは1984~85年にかけて272台が生産されました。
フェラーリ288GTOのベースは308GTBです。しかしエンジン搭載位置が横置きから縦置きに変更され、カーボンが使われた外板や特徴的なフェンダーなど大幅な改造を施されています。
当然ながらエンジンも308GTBとは全くの別物で、グループCマシンであるランチャLC2に搭載されていた3L V8 DOHCツインターボエンジンをベースに排気量を2.8Lに調整、406ps/50.6kgf.mを発生しています。
世界ラリー選手権での活躍が期待されたフェラーリ288GTOですが、結局は一度も参戦することはありませんでした。
当時世界ラリー選手権の最高峰クラスであったグループBですが、高性能すぎるマシン故に事故が多発。1986年にグループBが廃止されフェラーリ288GTOが参戦することなく活躍の場が消滅してしまいました。
ラリー以外のレースにも全く参戦しなかったフェラーリ288GTOは、伝説のホモロゲーションモデルとして知られることとなったのです。
日本に正規輸入されたフェラーリ288GTOは1台のみです。これまでに並行輸入車が何台か日本に上陸していますが、極稀に中古車市場に現れても数億円のプライスがつくほどの投機的な存在となっています。
様々な伝説を持つフェラーリ288GTOですが、その生い立ちと希少性により投機の対象になってしまったのは残念ですね。珍しいホモロゲーションモデルの1台が日本のNSX-R GTです。スーパーGTに参戦するために5台のみ生産されましたが、5000万円という価格設定だったためか1台しか売れなかったようです。