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F1マシンの足元を支え続けたタイヤメーカー
自動車レースの最高峰F1グランプリは1950年にイギリス・シルバーストーンサーキットから始まり、主にヨーロッパを中心に世界各国を転戦しながら今日まで続いています。そんなF1マシンも65年以上の歴史の中で劇的な進化を遂げてきましたが、タイヤもまた時代やレギュレーションの変化に合わせながら、その時々で最高のパフォーマンスを発揮してきました。ここではF1グランプリに参戦してきたタイヤメーカーの歴史を見ていきましょう。
出典:http://myautoworld.com/
1950年代に活躍したタイヤメーカー
1950年のF1グランプリ開幕当初はイタリアの『ピレリ』とイギリス『エングルベール』の2社がタイヤを供給。
この時代のF1マシンはまだウイングなどの空力的付加物がなく、現在のレーシングカーの面影は全くありません。1950年代に活躍していた主なF1マシンコンストラクターは『アルファ・ロメオ』『マセラティ』『フェラーリ』のイタリア3大ワークスです。
タイヤはバイアスの時代で幅は細く、径は大きくワイヤーホイールが主流で、ロールを誘発させてグリップを稼ぐ感じでした。『ピレリ』と『エングルベール』の時代が過ぎ去ると、F1のタイヤはイギリス『ダンロップ』の独占供給へと移行していきました。
1960年代に活躍したタイヤメーカー
1960年代中期になるとアメリカの『グッドイヤー』『ファイヤーストーン』がタイヤ供給に参戦して『ダンロップ』とのタイヤ戦争が勃発しました。
このころからエンジン排気量が2倍となったF1マシンのパワーに対抗すべく、ワイドトレッドタイヤが登場し、現在でも見慣れたF1タイヤの姿が出現しています。なお、ワイドトレッドタイヤは当初溝付きでしたが、後にスリックタイヤに移行しています。
F1マシンにウイングが付いて、ダウンフォースを利用することによって大幅にコーナリングスピードがアップしたのもこの時代からです。また、1960年代後期に登場した『フォード・コスワース・DFVエンジン』は20年近くに渡りF1マシンに搭載された名機です。
1970年代に活躍したタイヤメーカー
しばらくは『グッドイヤー』の独壇場であったF1タイヤでしたが1978年にフランスの『ミシュラン』が参戦開始。
その後フランス『エイボン』、イタリア『ピレリ』と4つのタイヤメーカーが火花を散らす展開となりました。
しかし『グッドイヤー』の優位性の高さは揺るがず、他の3メーカーは撤退していきました。
この時代には『ヨッヘン・リント』『ジャッキー・スチュワート』『エマーソン・フィッティパルディ』『ニキ・ラウダ』『ジェームス・ハント』『マリオ・アンドレッティ』など多くの有名ドライバーが活躍しています。
日本のタイヤメーカー『ブリヂストン』が活躍した1990~2010年代
出典:http://www.skysports.com/
1980~90年代に活躍したタイヤメーカー
1980年代に入っても『グッドイヤー』の独壇場が続き、一時的な『ピレリ』の復帰があった程度でした。
しかし1997年に日本の『ブリヂストン』が参戦を開始したことで流れが激変。
98年にマクラーレン+ ブリヂストンタイヤがチャンピオンを獲得した後、破れたグッドイヤーは33年間に渡るF1タイヤの供給から撤退していきました。
この時代には『アイルトン・セナ』が活躍。日本でも大人気なセナでしたが、1994年5月1日サンマリノGP中に亡くなりました。
2000~現在に活躍しているタイヤメーカー
1998年から『ブリヂストン』1社のみの供給であったF1タイヤでしたが2001年から『ミシュラン』が復帰。
常にフェラーリ寄りであったブリヂストンに不満を抱えていたF1チームがミシュランに乗り換える事態が勃発しました。
しかし2005年のアメリカGPの事件でミシュランタイヤの信頼性が一気に落ちて2006年を最後に撤退。2007年からは再びブリヂストンのワンメイクとなりましたが2010年シーズン限りで撤退しています。
2011年からは『ピレリ』が4度目のF1タイヤ供給への復帰を果たし、ワンメイクタイヤとして現在まで供給を続けています。
2000年から活躍したドライバーと言えば『ミハエル・シューマュハ』です。通算7度のワールドチャンピオンを獲得したミハエル・シューマュハですが、2013年12月29日のスキー中の転倒事故で頭部を負傷、麻痺と言語・記憶障害が残ったまま車椅子生活を続けています。
タイヤの進化に合わせる形で進化してきたF1マシン。驚異的なスピードF1マシンがサーキットを駆け抜けられるのは優れたタイヤあってのものです。
【豆知識】F1のタイヤって購入できるの?
F1のタイヤはF1チームに供給するために製造しているので一般の人が買うことは不可能です。
なお『エイボン』ではビンテージF1マシン用にタイヤを製造・市販していますが、ビンテージF1を所有していない一般人が買うことは難しいですね。
F1マシンの進化の歴史はタイヤの進化を追いかけ続けてきました。現在ではピレリのワンメイク供給になってしまいましたが、いつの日かまた日本のタイヤメーカーが参戦してくれることを期待しています。