なぜ制限速度以上のスピードが出る車を売っているのか
日産R35GTRはリミッターカットをすると、時速300キロ以上のスピードが出ます。
ファミリーカーでも180キロリミッターが簡単に作動する車は数え切れないほど市販されていますし、軽自動車で140キロ出る車もあります。しかし日本の道路は、高速道路でも制限速度100キロです。
なぜわざわざスピード違反ができるような車を売っているのでしょうか。
市販車が法定速度以上のスピードを出せる理由
現在の技術であればどれだけ速い車であっても、時速100キロ以上出せないようにすることは可能です。
しかし国産車のスピードリミッターが効き始めるのは時速180キロです。わざわざ時速100キロ以上出せるようになっているのは様々な理由があります。
緊急時の危険回避のため
落石などの自然災害や事故回避などの緊急時には、走行中のスピードを上げないと危険回避できない場面が想定できます。
そのため時速100キロで走行中のときでも、もっとスピードを上げて危険回避できるように法定速度以上のスピードが出るようになっています。
車が重くなったときに時速100キロ出せるようにするため
車は重くなればなるほどパワーを必要とします。同じ時速100キロで走行していても1人で乗っているときと5人乗っているときでは必要なパワーが違ってきます。
最大乗車定員+積載状態でも時速100キロ出せるように車のスピードに余力を持たせています。
坂道対策のため
道路は平坦なところばかりでなく、上りも下りもあります。
高速道路の場合は、設計上の最大勾配が6%となっていますが、この勾配を時速100キロで上るには平坦路で時速180キロ出せるパワーがないと無理と言われています。
車に余力を持たせるため
アクセル全開で時速100キロ出すのと、アクセル1/3で時速100キロ出すのでは車に対する負担が変わってきます。
楽に時速100キロ出る車であれば余裕を持って走行できて、燃費もよくなります。
自動運転車の普及で制限速度の状況が変わる可能性も
市販車が法定速度以上のスピードを出せる理由を紹介してきましたが、自動車メーカーでも同様の回答をしているようです。
この理由の中で、緊急時に危険回避するために時速100キロ以上出せるようにしているのは意味が分かります。
しかしそれ以外の理由はパワーに余裕があればいいだけの話しで、時速100キロ以上出すことができる理由にはならない気がします。
自動車メーカーもそのようなことは分かった上で回答しているはずですが、リミッターのない輸入車との兼ね合いや輸出向けの車の存在があるので簡単にはいかないのかもしれません。
現在の状況で緊急時の危険回避には時速100キロ以上出せて、それ以外では時速100キロしか出せないようにするのは難しいかもしれません。
しかし近い将来、自動運転車が登場したときには、普段は時速100キロリミッターが効いて、危険回避が必要なときだけ自動的にリミッター解除するシステムが誕生するかもしれません。
それまでは制限速度を守って、スピード違反で捕まらないように安全運転でいきましょう。
簡単に制限速度以上のスピードが出てしまう現在の高性能車を運転するには、ドライバーのモラルが大切になるようです。速度が速くなるほど制御が難しくなり、重大事故に繋がります。車を運転するときには、常に速度に気を配るようにしましょう。