後遺障害の損害賠償額は後遺症の種類によって大きく変わる
交通事故による傷害で後遺症が残った場合、怪我の治療費に対する損害と症状固定後の後遺症による損害を請求することができます。
怪我の治療費に対する損害賠償額は後遺症が残らなかったときと同じですが、後遺症が残ったときの損害賠償額は後遺症の種類によって大きく異なります。
自賠責保険の損害賠償額の限度額
自賠責保険の損害賠償額の限度額は後遺障害で4,000万円、傷害が120万円です。事故による傷害で後遺障害が残ったときは4,120万円まで受け取ることができます。
治療費や入院費用、休業補償は120万円までとなっていて、これを「積極損害」といいます。
後遺症が残ることによって失う収入のことを「逸失利益」といいます。逸失利益と後遺障害に対する慰謝料の限度額は4,000万円です。
近年は損害賠償認定が数億円になることが多々あり、自賠責保険だけでは1/10程度の補償にしかなりません。そのようなときは残りの金額を任意保険から支払うことになりますが、任意保険未加入の場合は加害者が自腹で支払わなければなりません。
自賠責保険における後遺障害の損害賠償額の算定方法
後遺症が残ったときの損害賠償額の支払い基準を積極損害、逸失利益、慰謝料に分けて説明していきます。
損害賠償の算定方法は自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士会基準の3つがありますが、ここでは自賠責保険基準での算定方法を紹介していきます。
積極損害
治療費などは後遺症がない場合と同じで120万円までです。将来の治療費や介護料に関する規定はありません。
逸失利益
逸失利益の算定方法は以下の通りです。
収入額×労働能力喪失率×後遺障害確定時の年齢に対応するライプニッツ係数
ライプニッツ係数は以下の表から求めます。
労働能力喪失率は後遺障害等級によって変化します。労働能力喪失期間は67歳を上限とする就労可能年限まで認められます。
慰謝料
自賠責保険基準での慰謝料は後遺障害等級ごとに以下の金額となっています。
1級 1,100万円
2級 958万円
3級 829万円
4級 712万円
5級 599万円
6級 498万円
7級 409万円
8級 324万円
9級 245万円
10級 187万円
11級 135万円
12級 93万円
13級 57万円
14級 32万円
※1級で介護を要するときは1,600万円、 2級で介護を要するときは1,163万円です。
※1~3級で扶養者がいる場合は、1級が1,300万円、2級が1,128万円、3級が973万円です。
後遺障害における損害賠償額は、積極損害+消極損害(休業補償+逸失利益)+慰謝料の合計になります。
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この記事のライター:自動車保険サイト管理人「結城」
大きな交通事故で怪我をすると、たいていの場合はなんらかの後遺症が残ってしまいます。身体的な障害が残ったときは損害賠償を請求できますが、自賠責保険だけでは足りないことがほとんどです。そのような事態を想定して人身傷害保険に加入しておくのもいいでしょう。