自賠責保険の運用益の使い道

自賠責保険の運用益は何に使われているのか

強制保険ともいわれる自賠責保険は、自動車を所有しているすべての人が加入している保険です。そのため多額の保険料が集まるわけです。

しかし自賠責保険を契約していても一度も事故を起こさない人が大半ですし、事故を起こして保険金請求しても受け取りまでにかなりの時間が掛かります。

自賠責保険は多額の保険料を長く保管している保険です。保険会社はそれを運用して利益を生み出しています。

営利目的でない自賠責保険の運用益の使い道とは

自賠責保険はノーロス・ノープロフィットの原則に基づいて運営されています。そのために自賠責保険の運用によって得られた利益を保険会社が利用することができません。

自賠責保険の運用によって得られた利益は日本損害保険協会に集められます。その利益は被害者保護の他に交通事故防止対策などに使われていて、これを自賠責保険運用益活用事業とよんでいます。

自賠責保険運用益活用事業とは

自賠責保険の運用益は将来の自賠責保険の収支改善を目的とする財源の他に、自動車事故防止対策、救急医療体制の整備、自動車事故被害者救済など、被害者保護のために活用できるとされています(自賠法第28条の3) 。

日本損害保険協会では各保険会社からの運用益拠出を受けながら、自賠責保険運用益活用事業を運営しています。

自賠責保険運用益活用事業の運営内容

交通事故防止のための啓発・教育(2017年度拠出額113,959,000円

・飲酒運転防止のための啓発事業支援
・交通事故防止機器の寄贈
・自転車事故防止のための交通安全教育支援
・高齢者交通事故の原因とその施策に係る研究
・運転可否判断支援尺度日本版による運転能力評価
・地域住民との協働による高齢者交通事故防止のためのモデル事業支援
・高齢運転者の事故予防に向けた運転能力の適正評価と早期介入に関する研究
・高齢歩行者の視力と交通事故に関する研究

救急医療体制の整備(2017年度拠出額573,309,000円

・救急医療機器購入費補助(日本赤十字社)
・救急医療機器購入費補助(済生会)
・救急医療機器購入費補助(北海道社会事業協会)
・救命救急センターへの救急医療機器購入費補助
・高規格救急自動車の寄贈
・救急外傷診療の研修会費用補助
・救急外傷看護の研修会費用補助
・献体による外傷手術臨床解剖学的研究会費用補助
・ドクターヘリ講習会費用補助
・ヘリコプターを活用した救急医療システム構築のための事業補助

自動車事故被害者対策(2017年度拠出額995,259,000円

・交通事故無料相談事業支援
・損害賠償金による交通遺児育成基金事業支援
・交通遺児への奨学金支給補助
・遷延性意識障害者の家族の介護に関する講演会および勉強会開催費用補助
・リハビリテーション講習会開催費用補助
・脊髄損傷当事者によるピアサポート事業支援
・被害者・その家族等の心のケア推進事業支援
・交通事故被害者への情報提供・研修会開催費用補助
・eラーニングを活用した交通事故被害者生活支援教育と中核的人材の育成
・グリーフケア人材養成講座の運営支援・受講料補助
・MRIにおける頚椎加齢変化の縦断的研究
・高次脳機能障害者支援における多職種連携に関する研究
・脳外傷・脊髄損傷患者に対する経頭蓋磁気刺激を併用したリハビリテーションによる運動機能改善効果の検証に関する研究
・高次脳機能障害者家族による家族支援サポートシステム構築に向けたプログラム作りへの支援

後遺障害認定対策(2017年度拠出額70,000,000円

・自動車事故医療研究助成

医療費支払適正化対策(2017年度拠出額158,634,000円

・医療費支払適正化のための医療研修
・自賠責保険診療報酬基準案普及促進費
・民間医療機関の医師等への自賠責保険制度・運用等に関する研修

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この記事のライター:自動車保険サイト管理人「結城」
自賠責保険の運用益はとても巨額なために、その使い道は常に注目されています。しかし自賠責運用益6,000億円返還問題が表面化するなど、事業存続そのものが危ぶまれている状況です。我々の保険料にも影響することなので、今後の動向に注目していかなければなりません。