危険運転致死傷罪とは【刑期・量刑・免許】

目次

無謀な運転による悪質、重大な死傷事犯を処罰するための法律

飲酒や薬物による影響により正常な判断ができない状態で車を運転して、人を死傷させてしまう事故が後を絶ちません。

このような危険運転による事故で適用される危険運転致死傷罪ですが、2013年の法改正で罰則が整備され逃げ得ができなくなりました。

危険運転致死傷罪とは

飲酒運転による重大な事故の多発、それまでの刑法では罰則が軽すぎるという意見が多数出たことから、2001年6月から新たに施行されたのが『危険運転致死傷罪』です。

危険運転致死傷罪とは、過失による業務上過失致死罪として従来は処罰されていた飲酒運転、無謀な高速運転などの交通ルールを無視した悪質な運転による死傷事犯を、故意による犯罪である暴行傷害や傷害致死と同様の犯罪として処罰する法律です。

危険運転致死傷罪の適用対象とは

・飲酒や薬物の影響で正常な運転ができない状態なのに自動車を走行させる行為
・自動車を制御することが困難な高い速度での走行や、自動車を制御する技能がないのに自動車を走行させる行為
・歩行者や他の交通の通行を妨害する目的でそれらの交通に著しく接近し、かつ重大な危険を生じさせる速度で自動車を走行させる行為
・赤信号を無視し続け、かつ重大な危険を生じさせる速度で自動車を走行させる行為

このような行為が危険運転致死傷罪の適用対象となります。

これらの行為により死亡事故を起こした場合には、1年以上20年以下の懲役、負傷事故の場合は15年以下の懲役が科せられます。

加害者の逃げ得を阻止するために新設されたのが危険運転致死傷罪

飲酒運転で人を死傷させた場合には危険運転致死傷罪が適用されます。

しかし危険運転が立証されないと自動車運転過失致死傷罪が適用されてしまうことがあり、7年以下の懲役(または禁錮)か100万円以下の罰金と大きく量刑が軽減されることが問題となっていました。

更に社会問題となったのが、飲酒運転により人身事故を起こした場合でも被害者を救済せずにその場から立ち去り、体内のアルコールを抜いてしまおうという行為です。

この行為の悪質なところは、時間が経ってアルコールが抜けてしまえば危険運転致死傷罪が適用されないと知った上で逃亡しており、加害者が逃げ得になる点です。

そのため2つの法律が新設されて罰則の整備が行われました。。

新たな危険運転致死傷罪の新設

従来の危険運転致死傷罪では、酒気帯び運転で人身事故を起こしても危険運転の立証ができないと過失となるケースがありました。しかし酒気帯び運転であれば危険運転致死傷罪に該当するように改正されています。

新たな危険運転致死傷罪は15年以下の懲役、負傷事故の場合は12年以下の懲役が科せられます。

運転への支障の度合いに応じて、従来の1年以上20年以下の懲役、負傷事故の場合は15年以下の懲役のどちらにあたるかが判断されます。

飲酒運転の発覚を免れないための法律

飲酒運転の発覚を免れようとして、ひき逃げや更なる飲酒をした場合に12年以下の懲役となる『過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱』が新設されました。

被害者を救済せずに逃亡した「救護義務違反」の併合罪であれば18年以下の懲役となります。


日本という国は自動車事故であれば、どんなに死者を出したとしても極刑にならない不思議な国です。被害者の立場からすれば自動車事故であろうと傷害事件であろうと関係ないわけだから、自動車事故に対する刑罰はもっと厳しくしても良いと思いますがいかがでしょうか。